2009.09.02
「有機農法、もっと知って」
初の「有機100倍運動タウンフォーラム」川越で開く
有機農業への関心は高く、会場はほぼ満席に |
環境問題への関心が高まる中、化学肥料や農薬を使わない有機農業について話す県内初の「彩の国有機100倍運動タウンフォーラム in 川越」が、2日午後1時半から県川越地方庁舎で開かれました。
川越地方の農家でも近年、環境に優しい農業を目指そうと化学農薬・化学肥料の使用を減らそうとする意識が浸透してきています。一方、県が有機農業について一般の人にアンケートしたところ、正しく理解していた人は2割にとどまっていました。
県ではより多くの人に理解を深めてもらおうと、初めてのタウンフォーラムを川越で企画。この日は約120人が参加しました。
有機100倍運動」の取り組みについて話す外島さん
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フォーラムでは、まず県農林部農産物安全課の外島洋志男主任が「彩の国有機100倍運動」について「この運動は、環境に優しい農業と農産物の安全・安心確保のため1997(平成9)年度から始まったもので、2010年度までに農薬と化学肥料の使用量を1995年度の半分に減らすことが目標」と説明。
「川越管内(川越市など10市3町)では昨年度、特別栽培農産物認証面積(農薬と化学肥料を通常の半分に減らした農地)が198ha、2007年度にはエコファーマー(持続農業法に基づく減農薬・減化学肥料・有機肥料による土づくりを導入した県認定の農業者)が615人まで増加しました」と現状を紹介。
「化学肥料の削減率は58.5%(06年)で50%削減の目標を達成しているものの、農薬の削減率は26.7%(07年)と、あまり進んでいない。これは温暖化の影響で新しい病害虫が発生したためで、今後は農薬に頼らない病害虫抵抗品種の導入・防虫ネットの利用・天敵の活用・発生予察に基づく適期防除などで削減を図っていかなくてはならない」などと話しました。
土着天敵を利用した減農薬防除について話す根本さん |
続いて、研究者の立場から県農林総合研究センター水田農業研究所の根本久所長が「土着天敵等を利用した減農薬栽培方法」について講演。
根本さんは「約30年前、県の試験所で研究を進める中で、害虫のサンプルを採集するため農薬をかけないで害虫を増そうとしたら一向に増えない。一方、他の研究者が害虫を駆除するため農薬を何度も散布していたら、逆に害虫がどんどん増えてしまった」という経験を紹介。
「これはリサージェンスとよばれる現象で、当時は熱帯や東南アジアなどでの報告はありましたが、日本では初めての事例で信じてもらえなかった」といい、「後に北本市のキャベツ畑でコナガが増えて困っているとの相談で調べると、アブラムシやモンシロチョウの幼虫を一度に駆除するのに強い農薬を使い、コナガの天敵であるクモまで殺してしまったのが原因と分かりました。コナガの幼虫は殺虫剤に強いため生き残り、異常発生して3日おきに農薬をまいても効かなくなったのです」と実例を話しました。
この農家では「アブラムシやモンシロチョウの幼虫に効く程度の農薬に減らし、コナガは天敵のクモに任せる方法をとったらどうか」という根本さんのアドバイスで農薬を減らし、試行錯誤の末に使用量を半減に成功。現在では、スーパーの減農薬野菜のコーナーに「生産者の顔の見える野菜」として売られているそうです。
生産者の立場で有機農業について話す加藤さん |
生産者の事例発表としては、狭山・入間市の遊休農地など15haを活用し農薬・化学肥料を一切使わず大豆・そば・小麦・茶・ごまなどを作っている加藤博司さんが「有機農業の取り組みについて」と題し講演。
加藤さんは「肥料として鶏糞や牛糞などを使うとカメムシが大量発生してやられてしまうので、今では使うのをやめました」「特に大豆やお茶は無農薬での栽培が難しいのですが、消費者の皆さんに安全・安心な食材を提供し、少しでも食糧自給率の向上に役立てればと無農薬・無化学肥料を十数年貫き通しています」などと話しました。
有機農業について参加者と意見交換する講演者ら |
最後には講演者3人と会場の参加者の意見交換が行われました。
参加者からは「農薬や化学肥料を使わずに、どうやって養分を維持するのか」「減農薬から入っていくと、有機農業はなかなか進まないのでは」などの質問が出され、「化学肥料の代わりに残った小麦や大豆などをすき込んでいます」「有機農業には自然農法、家畜を使う農法などいろいろあり、その土地に合った工夫が大切」「有機農業を支えるためには販路の確保が必要」などの意見が出されました。
(写真は新宿町1丁目の県川越地方庁舎で) |