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「民主主義の将来は君たちが」
 池上彰さんが子ども大学で講義
  2016年11月26日
子ども大学かわごえの"学生"たちに民主主義について講義する池上彰さん(左)
子ども大学かわごえの"学生"たちに民主主義について講義する池上彰さん(左)

池上彰さんが子どもたちに講義
 フリージャーナリストの池上彰さん(66)が26日、豊田町の尚美学園大学を訪れ、午後2時から4時まで「子ども大学かわごえ」(酒井一郎理事長)の学生(小学4〜8年生)と保護者らに"出前講義"をしました。会場には川越市の新保正俊教育長ら教育関係者の姿も見られました。

ワシントン州の投票用紙を見せながらアメリカの選挙制度について話す池上彰さん
ワシントン州の投票用紙を見せながらアメリカの選挙制度について話す池上彰さん
9年前の設立以来、毎年欠かさず
 講義は「『なぜ・どうして』といった好奇心から学ぶ楽しさを知ってもらおう」という子ども大学の趣旨に賛同した池上さんが、2008(平成20)年の設立当時から毎年1回欠かさず行っているもの。
 取材や執筆活動のほか、大学の講義や講演・テレビ出演など多忙なスケジュールの中、交通費のみで子どもたちに講義をしています。


米大統領選を例に民主主義を説明
 今回のテーマは「民主主義と私たち」。池上さんは現在行われているアメリカ大統領選挙を例に、子どもたちに民主主義の仕組みを分かりやすく解説。
 アメリカは一つの国ではなく独自の憲法や軍隊を持つ50の国からなる連邦国家であること、選挙人が大統領を選ぶ仕組みのため選挙はまだ終わっていないことなどを紹介。

「候補者・政党名書くのは日本だけ」
 池上さんは、ワシントン州の実際の投票用紙を見せながら、アメリカの投票用紙は記名式ではなく幾つかの選択肢の中から選ぶ方式なこと、州ごとに投票用紙がすべて違うことなどを説明。
 「投票用紙に候補者や政党名を直接書くのは、世界中で日本だけ。それだけ国民の識字率が高いということなんです」などと話すと、皆がびっくりしていました。
 また、池上さんは「今回の選挙では、これまで投票所に行かなかった人たちが大勢投票したことで予想外の結果に結び付いたこと、世界が驚くような人が多数決で選ばれることや、結果に納得いかない人たちが抗議する自由が認められているのも民主主義だから」などと説明。

自分の意見や質問をはっきり述べる子どもたち
自分の意見や質問をはっきり述べる子どもたち
「なぜ50の国に分かれているの?」
 質問のコーナーでは、大勢の子どもたちが手を挙げて発言。
 「なぜ50の国に分けておく必要があるんですか?」の質問には、池上さんは「逆なんです。分けているのではなく、50の別々の国々が一緒に行動しようと言ってアメリカという国ができている。連邦国家で州ごとに意見や考え方が違うのは、当たり前なんです」などと回答。
 「選挙人が最後に違う候補に投票しても罰せられないんですか?」のには、「投票はワシントンに集められて1月6日に開票されるので、誰が裏切ったか分からないので罰しようがないんです」などと説明していました。
 また、池上さんは「選挙で選ばれた人の意見がそのまま通るのではなくて、大切なことを決めるときは話し合って多数決で決めるのも民主主義の大切なところなんです」などと説明していました。

分からない点など、多くの子どもたちが積極的に質問
分からない点など、多くの子どもたちが積極的に質問
4割の子どもが「日本が
民主主義か、分からない」

 次に、池上さんが民主主義でない国の不自由さについて、幾つかの国の例を挙げて説明。
 「日本は民主主義だと思いますか?」と質問を投げ掛けると、約半数の子どもたちが「そう思う」に挙手。その一方、4割近い子どもたちが「どちらか分からない」に手を挙げました
。これには池上さんもびっくり。
 子どもたちは、分からない理由を「テレビで、日本が民主主義だということを直接聞かないから」「空港のチェックが楽だと言う事知らないから」などと回答。
 池上さんが「自由のない国では『民主主義ではない』と言うだけで消されることもある。こういう質問に、自由に自分の考えが言えること自体が民主主義なんですよ」などと説明しました。

「君たちがもっと民主主義の国に」
 池上さんは、「イギリスのエコノミストという雑誌が、世界の民主主義ランキングというのを載せていますが、日本は順位があんまり上じゃない。なぜだか分かりますか?」と質問。
池上さんの質問に、思い思いの考えを話す子どもたち
池上さんの質問に、思い思いの考えを話す子どもたち
 男の子が「女性の社会進出があまり進んでないから」と、女性議員の少なさが低評価につながっていることを正解。もう一つの理由は誰も答えられず、池上さんが「選挙の投票率がとても低いからです」と明かしました。
 池上さんは「国民が、自分たちの意志で政治を変えようと思っていないんじゃないかと評価されているわけ。ランキング上位のデンマークは、投票率がいつも85%ぐらい。皆、選挙に行くのは当然だと思っている」などと説明。
 「君たちが、日本をもっと民主主義の国にすればいいということを、ぜひ考えてください」と締めくくりました。

「大人はなぜ選挙に行かないの?」
 最後に、子どもたちは池上さんを囲んで恒例の記念撮影。池上さんの掛け声で、拳を上げて元気よく写真に収まっていました。
 講義終了後、池上さんは本紙取材に「4割近い子どもたちが『日本が民主主義かどうか分からない』と答えたのは意外だった。こんなにいるとは思わなかった。民主主義って皆習っているはずなのに、実感していないんだと思う」などとコメント。
 受講した子どもたちは「国の成り立ちを聞いて、アメリカがなぜ自由の国と言われているのかが分かった」「ほとんどの人が字の読み書きができる国は、思っていたより少ないことを初めて知った」「大人たちが、なぜ選挙にいかないのかが分からない」などと話していました。

(写真は豊田町の尚美学園大学で)
池上彰さんを中心に記念撮影する「子ども大学かわごえ」の子どもたち
池上彰さんを中心に記念撮影する「子ども大学かわごえ」の子どもたち
 
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