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民間に出向き初の意見交換
 市議会「人口問題と社会現象に関する特別委員会」
        2016年08月05
「人口問題と社会現象に関する特別委員会」で、民間からの意見を述べる川越商議所の立原会長(写真奥中央)ら
「人口問題と社会現象に関する特別委員会」で、民間からの意見を述べる川越商議所の立原会長(写真奥中央)ら
商工会議所代表らから民間の意見聴く
 市議会の「人口問題と社会現象に関する特別委員会」(小野澤康弘委員長)は5日午前10時から約2時間、仲町の川越商工会議所(立原雅夫会頭)で委員会を開催。民間からの生の意見を聴きました。

庁外に出向いての委員会は議会史上初
 これらの委員会ではこれまで、庁内の会議に民間の代表らを招いて意見を聴くことはありましたが、委員会自体が民間に出向いて開催されたのは川越市議会史上、初めて。
 今回は、就労に関して県と市が行っている企業や事業主に有効な施策を検証するためには、少子化対策に関する雇用施策の在り方について現場の声を聴き、民間と力を合わせて進めていくことが欠かせないと判断して開かれました。

商議所正副会頭4人・市議10人が出席
 この日、川越商議所からは立原会頭(立原電機)のほか、小谷野和博(フカワビジネス)、原敏成(武州瓦斯)、岩堀和久(岩堀建設工業)の3副会頭らが出席。
 特別委員会からは、小野澤委員長のほか今野英子副委員長、海沼秀幸・田畑たき子・小高浩行・吉野郁惠・近藤芳宏・川口啓介・牛窪多喜男・片野広隆の8市議、議会事務局らが出席しました。

「少子化は川越経済にも影響」
「安心して働ける環境作りを」
「市の補助制度は条件厳しい」
「保育施設多いが収容少ない」
 意見交換の内容は次の通り(骨子・要約)。
小野澤康弘委員長
小野澤康弘委員長
立原雅夫会頭
立原雅夫会頭
 小野澤委員長「市の就労者・就労予定者施策に関し、少子化対策に対する雇用施策について企業者側の意見を頂きたい」
 立原会頭「現実問題として、少子化は商議所としても大変大きな問題。産業面でも、労働力の不足に伴って経済効果が弱まってしまう。市内の販売店では、店員が足りないという問題が起こっている。時給を上げても、なかなか来てくれないと聞く。製造や建築の現場でも労働力不足が問題となっている。少子化の原因を探る必要がある」
 小谷野副会頭「現実に、パート不足が深刻。子どもを預けて安心して働ける環境を整えてもらいたい。また、扶養控除が外れてしまうため、本人も働きたいのにそれ以上働けず人手不足に陥っている現状もある」
 原副会頭「せっかくの補助制度も、条件が厳しくあまり使われていないのが実情。使いやすくしていただくことが望まれる」
 岩堀副会頭「女性が明るく元気で活躍していただく環境を整えるために、企業でも長期ビジョンを模索しながら作っている。川越市は保育施設は多いが収容人数が少なく、他市に転居する従業員もいるなど、人員確保にも影響が出てくる。他市では育児に好条件なことを積極的にPRしており、不動産情報にもうたっている。川越市も、もっと努力すべきでは。駅前の保育園など民有地の有効活用について、官民が力を合わせて積極的に推し進める必要があるのではないか」

「雇用均等で価値観の変化も一因」

牛窪多喜男市議
小高浩行市議
小高浩行市議
 牛窪市議「先進国では、社会制度が整備されることで子どもに頼る傾向が薄れていき、少子化の一因となっているのではないか」
 小高市議「経済的な要因で子どもを持てない家庭が増えている一面、子だくさんが良いと風習が薄れている面もあるのでは。若い世代の不安定な雇用や年収・長時間労働などが問題視されているが、中でも保育問題に目が行き過ぎているのではないか」
 立原会頭「子どもを預けるところが不足していることは少子化の一つの原因かも知れないが、男女雇用均等が進んだことによる価値観・人生観の変化もあるのでは」
 小高市議「地元の若者を引き留める施策が大切で、市のPRももっと必要。企業としての取り組みやアピールは?」
 岩堀副会頭「市内の企業で働く若者を増やすため、川越商議所では市内の大学と連携し、学生を市内の企業で体験就業していただくインターンシップを行っている。若い人に社会貢献の大切さを実感してもらうことが大切なのでは」
 小谷野副会頭「中小企業・零細企業は生き残ることで精いっぱいで、優秀な人材の確保に苦しんでいる。地元企業への就職支援など、行政も一緒にやっていく必要があるのでは」
 小高市議「保育所を企業内に作るとなると大きな問題があると思うが、資格を持った人による多様な保育の形態について考えは?」
 立原会頭「語学教育に特化するなど、社会適合以外も目的とした保育施設が人気を集めるなど、多様な保育の形態があっていいと思う」
 小谷野副会頭「家庭で預かることを認可していく制度もあっていいのでは」

「職住接近を実現するためには」
 牛窪市議「大昔は、狩りをする者・食料をつくる者・配膳する者・子どもを守る者が分業して集落を形成していた。潜在的な待機児童が160万人といわれる中で、育児はみんなでするものというコンセンサスができないと問題は解決しないのではないか」
吉野郁惠市議
吉野郁惠市議
 吉野市議「昔は物資がないが時間はあったが、経済成長とともに高収入を求めるなかで物資が豊富になった反面、自分の時間がなくなってしまった。地元企業に勤めることで、職住接近により通勤時間やストレスも減り、家庭での時間も増えるのでは」
 小谷野副会頭「近年、田舎に戻って新たな人生を目指している人も増えている。まちの魅力を高め、PRしていくことが大切。教育により、大企業に勤めることが良いという価値観を変えていくことも必要なのではないか」
 立原会頭「少子化問題を考える際、なぜ結婚しないのかという原因を探る必要がある。男女がそれぞれ独立して生活できる社会構造・価値観のなかで、解決策を見出していかなければならない。見合いの場を設定しても参加者が集まらないなど、生き方の多様性も背景にあるのでは」
 原副会頭「職住接近のためには、自分のやりたい仕事があるかどうかが重要で、企業の努力も求められる。地域間競争においては、地域を良くしていくために行政の努力も不可欠」

「生きがい・社会貢献の教育も」
 吉野市議「市内には世界に誇れる技術を持った企業もたくさんあり、市としてももっとPRすることが必要。川越市は大学も高校も多く、教育を通して地域に根差した人づくりにも力を入れなければならない」
海沼秀幸市議
海沼秀幸市議
 海沼市議「適齢者にお見合いを勧める人も少なくなって、結婚の機会も減っている。自分の同級生では、結婚した人は1割にも満たないのが現状。若いうちは、ちょっとしたトラブルが面倒臭い、一人で何でもできるなどといった意識が結婚を遠ざけており、婚活パーティーにも足が遠退いているのでは」
 立原会頭「企業もまちも、生きがいを感じるような社会にしていかないと、人を惹き付けることはできないのでは」
 小谷野副会頭「人生の目標を設定できない若者が増えてきているのではないか。企業でも、優秀なのに目標を立てられない人が増えている。どう生きるか、いかに社会に貢献するかというような教育が不足しているのではないか」

「就職ミスマッチをどう減らすか」
片野広隆市議
片野広隆市議
 片野市議「賃金を上げてもなかなか人が集まらないのが現状と聞くが、職を求めている人は多い。ミスマッチが起きているのではないか」
 岩堀副会頭「職場体験で女性の声を積極的に聞くなど、職場環境の整備に力を入れることでミスマッチを防ぐ努力を進めている」
 小谷野副会頭「入りたいと思ってもらえるような企業努力と、住みたいと思ってもらえるような仕組みが必要」
 立原会頭「まちづくり会社が本川越駅に設置している観光案内所で、通訳など募集をかけたところ時給900円前半でも応募が超過した。一方、時給1,300円でも人集めに苦労している店もある。給与だけの問題ではなく、生きがいを感じられる体制作りが求められている」
 片野市議「就労・採用支援での取り組みは?」
 岩堀副会頭「川越商議所では、会員企業の情報発信・PRができるようなIT環境の整備を進めている」
 原副会頭「市の就労支援は条件が合わず、あまり利用されていない。保育不足により職場復帰が遅れる現状があるので、早い解決が望まれる。少子化については、施設に預けられない乳児期に対する支援も必要なのでは」

近藤芳宏市議
近藤芳宏市議
田畑たき子市議
田畑たき子市議
川口啓介市議
川口啓介市議
「激変社会で企業は即戦力求める傾向」
 近藤市議「川越市内の雇用需要の状況は?」
 立原会頭「人数だけの問題ではなく、今の企業では即戦力となる専門技術を持った人の需要が増えている。中小企業では年月をかけて人を育てる余裕がなくなってきており、需要と供給のバランスには数以外の要因もある」
 田畑市議「各地の大学に対する川越市の企業就職誘致の活動も必要なのでは」
 川口市議「即戦力を求められると、若い人には厳しい面もあるのでは?」
 立原会頭「社会情勢の変化がめまぐるしく、長期的な企業戦略を立てても状況に合わせてすぐに対応しなければならない局面が増えており、時間をかけて人材育成しても戦略に合わなくなる実態がある。必要な技術はM&Aなどの企業買収で手に入れる時代になっている」
 小野澤委員長「市や議会への要望は?」
 岩堀副会頭「川越には住みたい・働きたいと思ってもらえるような魅力がたくさんある。行政も議員の皆さんも、ぜひ積極的にアピールしていただきたい」

人口問題に官民協力の必要性を確認
 会談後、本紙取材に立原会頭は「いろいろな角度から、われわれの見方からの意見を言わせてもらい、こうした機会が重なれば良いまちになっていくのではないかと思う。今後とも、こうした機会があれば協力していきたい」などと話しました。
 小野澤委員長は「議会としても初めてのケースだったが、調査のなかで皆さんの意見を伺うことは大変貴重で、市の政策をチェックしていく上で有意義なプロセスだったと思う。今後の委員会では、今回の意見交換の内容を生かして審議を進めていきたい」などと話していました。
(写真は仲町の川越商工会議所で
川越商議所の立原会長(写真手前)ら民間からの意見を聴く「人口問題と社会現象に関する特別委員会」の委員ら
川越商議所の立原会長(写真手前)ら民間からの意見を聴く「人口問題と社会現象に関する特別委員会」の委員ら
 
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